夏の魔物


土曜日。彼からのメールは返ってこない。
明日も逢えないのかな。逢ってくれないのかな。
不機嫌や倦怠感に負けちゃうんかなあ、わたし。
彼女なのになあ。




わたし運命とか神様とかそうゆうのに試されてるのかな。
うまくいってないときに限って、元彼氏のメガネにバッタリ遭遇する。
こないだもそうだった。
そして今日も。
後からびっくりがやってきて、放心。


しかも今日はそんな予感が何故かしていて、SNSで「CD買う」ってゆってたからきっとあのお店で買うんだろうなーだったらこの辺にいるかもなーあーとか思いながら改札出たら、そこに本当にいたんだよ。立ってケータイいじってたんだよ。びっくりはしなくて、とりあえず目を疑って、あー似てる人がいるって思ってじっと見たら本物だったんだよ。メガネもこっちを見ていて、手を振って、わたしから近づいて、そのときはとても冷静に、「あーやっぱり。やっぱりいた。」って思った。「待ち合わせ?」「いや、そういうわけではない。」


1年ぶりでした。もちろんそのままバイバイ。改札出る前のわたしの頭の中ではお茶に誘われる感じだったんだけどね。かっこわらい。
嫌いになって別れたわけじゃない。
選ばなくちゃいけなくて別れた。わたしが見切った。
でもとても好きだった。過去。
くゆらせることはあるけれど、求めることはもちろんない。
連絡だって取らない。残ってる特別感を早く拭いたい。
そう。連絡取らないから逢うことなんてないはずなのに、こうやって偶然逢うからさあ。試されてる気分になる。
あのこの冷たさ、寂しさに負けて、歯車狂わせて、変な気起こさせようとしてんじゃないの。意地悪な神様。
なんつって。バイバイナイスガイ。


7月だからだな。
自転車の後ろから掴まった、汗ばんだTシャツの感じ、夏の匂い、振り向いた笑顔だけ閉じ込めて、
別のフォルダに保存して、鍵かけて置いておく。
そのぐらいは許されるんじゃないかな。


(自分でとても気持ち悪い。こうゆうの、やだ。ごめんね。許されねえよ。馬鹿。)